ひょうたん型のテーブル


隣のビルの2階に蕎麦屋があった。商業施設のメイン通りから一筋それた通路にあるその蕎麦屋は昼どきにはいつも人の出入りがあり、人気があった。あるとき店舗移転の張り紙がされ、その場所での営業の終わりを知った。移転作業に伴い、店舗内の大掃除が行われていた。店内で使われていた椅子や机はそのまま新しい店舗に移動されたようであったが、不要なものはお店の前におかれ「必要な方はご自由にお持ち帰りください」と書かれた紙が貼って置かれていた。花瓶、トレー、灰皿…その中で私は両手でようやく抱えることができるサイズのテーブルが置かれていることに気付いた。濃い鼠色で、太くてずっしりとした足が特徴のひょうたん型をしている。色もぱっと見た感じ好みではなかったので自分で買うことはない色合いではあったが、太くどっしりとした4本の短い足に滑らかな曲線で形作られたひょうたん型に愛嬌を感じ、印象に残った。そのときは足を止めることもなく、視界に入れた程度であったが、翌朝早く目が覚めたこともあり、出勤前にもう一度見に行き、まだ残ってそこにあることを確認、近づいてテーブルに触れてみた。手触りが良く、傷もついておらず、表面は艶がかっていた。よく見ると、黒・白・ネイビー三色の細やかなまだら模様でできており、遠目で見ていたから鼠色に見えたようだった。もう数日間ここに置かれたままなので、このままでは粗大ごみの回収されてしまう、だったら少しでも使わせてもらう方が良いのではと思い、運んで帰った。それ以降、ずっとパソコンのデスクとして利用している。


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